二十四節季という季節の捉え方があります。1年を24に分けて、季節を味わう考え方です。日本には四季がありそれはそれで季節の移ろいが感じられよいところですが、昔のひとたちは季節をもっと細かく観察し、大切にしてきました。
その背景には、今のようにネットや映画などのエンターテインメントがなく、楽しむことと言えば季節のことぐらいだったのかもしれません。ですが、私たちも季節は同じようにいつもそばにあり、感じる心があれば24の季節をそれぞれ味わうことができるのです。
日本に生まれ、日本に暮らし、いまも変わらない季節があること。二十四節季は旧暦で、実際の季節とは少しずれたりしていますがそこもまた味。現代流に私たちが感じ、楽しめる二十四節季に大切にしたいことを書き綴ってみたいと思います。
秋|処暑
ひとつの季節は干支により節という区切りがあり、約15日間です。
約と書いたのはこれも節入り、という時間が細かく決まっていて(二十四節季は太陽の角度により導かれたもの)たとえば今年2023年であれば8月23日18時01分から9月8日6時26分までが処暑となります。そんな処暑に大切にしてみたいことを2つ書いてみました。
1|秋の七草を飾る
1月7日、七草がゆとして食べる“春の七草”は有名ですが、実は“秋の七草”というものもあります。ただ秋の七草は食べるものではなく、愛でて涼やかさを感じるもの。萩(はぎ)、薄(すすき)、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)。野草として自生ものを見ることはまだ早く、難しいですがお花屋さんにはいるとこの秋の七草や秋らしい色合いの草花が揃っているころ。
お部屋に飾ることで、真夏の暑さのなかでも秋の入り口を感じられるもの。朝晩の風がさらっとしてくること、虫の音を聞くこともまた風情を感じる瞬間。五感ひらいて秋を感じてみましょう。
2|お月見を始める
お月見、といえば十五夜や十三夜にあたる9月、10月が本番。ですが、今年の処暑でむかえる8月31日の二度目の満月はぜひ月を見上げたり、月光浴を楽しみたいところ。この8月の満月により、お月様のリズムが変わります。一か月の中で満月、新月と順にきていたところが、9月からは新月から満月に流れがスムーズになります。
大切な調整をしてくれる8月の満月は、あれこれとごちゃまぜになった夏の気を一掃してくれそうな片づけ上手のお月様。感情や自律神経の乱れ、心配事や悩みに対してヒントを与えてくれ導いてくれるようなエネルギーです。
忙しくても8月の最後の日、どうぞお月様を見上げてみてください。そしてそこから続く、十五夜、十三夜にどんな変化があるのか受け取ってみてほしいと思います。
涼やかさとともに、月や夜空の美しさがまた深まっていくとき。朝晩のギャップを楽しみ、ゆったりとした夏の終わりを味わいたい季節です。