二十四節季という季節の捉え方があります。1年を24に分けて、季節を味わう考え方です。日本には四季がありそれはそれで季節の移ろいが感じられよいところですが、昔のひとたちは季節をもっと細かく観察し、大切にしてきました。
その背景には、今のようにネットや映画などのエンターテインメントがなく、楽しむことと言えば季節のことぐらいだったのかもしれません。ですが、私たちも季節は同じようにいつもそばにあり、感じる心があれば24の季節をそれぞれ味わうことができるのです。
日本に生まれ、日本に暮らし、いまも変わらない季節があること。二十四節季は旧暦で、実際の季節とは少しずれたりしていますがそこもまた味。現代流に私たちが感じ、楽しめる二十四節季に大切にしたいことを書き綴ってみたいと思います。
夏|芒種
稲や麦など芒(のぎ)を持つ植物の種まきの時期です。ひとつの季節は干支により節という区切りがあり、約15日間です。
約と書いたのはこれも節入り、という時間が細かく決まっていて(二十四節季は太陽の角度により導かれたもの)たとえば今年2024年であれば6月5日13時10分から6月21日5時50分までが芒種となります。そんな芒種に大切にしてみたいことを2つ書いてみました。
1|育てる、を楽しむ
今では稲や麦などの種まきはもう少し早くなっていますが、昔は全国のあちこちで農家さんが忙しくなっていたころ。私たちは“食べる”ことに、“育てる”必要がなく、すぐに、いつでも食べられるものに溢れています。
そんな便利な時代でありながら、時の流れは昔も今もなんら変わりはありません。芒種のなかには、梅雨の始まりをあらわす入梅という季節があります。すでに梅雨入りしているところも多いですが全国的に雨の季節。外で開放的に動くことができない芒種のシーズンは、心がぐっと内側に入りがち。
またコロナ禍で「ストップ」がかかっていたここ数年から始まりの気配を感じる今年2023年はなんだかちょっと焦りがちなことも。
そんなとき、自分以外のなにかに“成長”を楽しむことをお勧めします。手塩にかけてとはよく言いますが、この時期「自家製」にはもってこいな食材が揃うのもいいところ。梅、らっきょう、山椒、果実のジャムをじっくりじっくり作り込んでみては。少しずつ完成に近づき、変化する姿にワクワクがとまらなくなるはず。
また味だけではなく、植物も芒種の名の通りよい季節。手軽に育てられるハーブ類や、実がなるものは少しずつの成長が愛おしく、毎日が楽しくなるもの。
お花も、この時期華やかなものたちが並びます。芍薬・紫陽花は雨の季節にお部屋をわっと明るくしてくれます。ゆっくりと花が開き、色が変化し、その後はドライにして…などその経過をじっくり楽しむこともおすすめです。
2|お気に入りのレイングッズを探す
雨の時期、私がワクワクするもの…それは一生モノのレイングッズです。傘に始まり、レインブーツ、レインコート…雨が降るたびにいそいそとそれらを出し、雨のなか使うのが楽しみのひとつです。
傘は、新潟の1つずつ手作りされている藍色のものが大のお気に入り。そしてレインコートはもう10数年前にフランスで購入した明るいライトブルーで金色の留め具が付いているものを愛用。
雨だとお気に入りのグッズやお洋服が着られずに、保守的になりがちですが、自信をもてるそれらがあることで憂鬱な気分も飛んでいきます。
雨に強く作られた一生モノたちはくたびれることなく、持ちがいいのもいいところ。毎日使うものではないですが、価値ある投資だったと満足しているレイングッズたちです。
雨の季節に気分を上げる一生モノをひとつ、お迎えしてみてはいかがでしょうか。