二十四節季という季節の捉え方があります。1年を24に分けて、季節を味わう考え方です。日本には四季がありそれはそれで季節の移ろいが感じられよいところですが、昔のひとたちは季節をもっと細かく観察し、大切にしてきました。
その背景には、今のようにネットや映画などのエンターテインメントがなく、楽しむことと言えば季節のことぐらいだったのかもしれません。ですが、私たちも季節は同じようにいつもそばにあり、感じる心があれば24の季節をそれぞれ味わうことができるのです。
日本に生まれ、日本に暮らし、いまも変わらない季節があること。二十四節季は旧暦で、実際の季節とは少しずれたりしていますがそこもまた味。現代流に私たちが感じ、楽しめる二十四節季に大切にしたいことを書き綴ってみたいと思います。
春|清明
二十四節季のなかでメジャーどころであろう、春分の次の季節が【清明(せいめい)】です。ひとつの季節は干支により節という区切りがあり、約15日間です。
約と書いたのはこれも節入り、という時間が細かく決まっていて(二十四節季は太陽の角度により導かれたもの)たとえば今年2023年であれば4月5日10時13分から4月20日17時13分までが清明となります。そんな清明に大切にしてみたいことを2つ書いてみました。
1|清らかに明るいを味わう
清明っていい季節だなあと単純に思います。二十四節季は季節の変化を表すため、春夏秋冬の文字が入っていたり(立夏、立冬など)、農耕に関わる出来事があったり(穀雨、芒種など)、あとは体感や見た目の自然のうつろい(大暑、白露など)ですが、そのなかで今回の“清明”はあきらかに違います。
清くて明るい季節。清明とは、「清浄明潔」の略ですが、万物が清らかで生き生きとしているさまのこと。清明に入ったら、清く明るい空気を肌で思いっきり感じ受け取りたい。冬を越え、太陽のあたたかさや、風の軽やかな感じが清々しい15日間です。
ちょうど新年度であり、フレッシュなときを味わえる時期でもあります。清らかな風やまぶしい日の光を心いっぱい取り込み、新緑や土がほかほかふっくらしていることを体でも感じたいときです。晴れた日はピクニックやお花見をぜひ。
またお洗濯も楽しくなる季節ですね。自然にやさしい洗剤や、ごみ出しの方法、エコついても考えてみるとより心が優しく、軽くなりそうです。
2|春独特のえぐみを楽しむ
清くて明るい清々しい季節と書きましたがそれとは裏腹に、この期間は春特有のえぐみや苦みが実はでやすいときだと感じています。ちょっとした緊張感や、新しい環境への変化など自然と心に負荷がかかりやすい時期。
また温かくなったとおもっても、朝晩は冷え込んだり、寒暖差が激しいため心のバランスが乱れやすかったりします。冬物のコートを着るには少し重たく、つい春物で出かけると寒くてびっくりしたりします。ストールやちょっとしたは織物のお気に入りを見つけることもよいでしょう。
そしてちょうど清明のタイミングでは、春の土用期間が始まります。2023年は4月17日15時36分から5月5日まで。
この期間は春から夏へとゆっくりとむかう準備をする調整のこよみです。春にためこんだ、モヤモヤや熱を発散し、次の季節を超える心と体に整えて。
春野菜のあまさと苦みがある食べ物も旬を迎えます。ふき、タラの芽などの山菜やたけのこ、魚介類だとさざえなど。春キャベツやふきのとう、菜の花なども並びおいしい季節ですね。
なぜか大人になればなるほど、春の苦みやえぐみがおいしく感じるのは私だけでしょうか?たけのこご飯とか、ふきのとうの天ぷらとか。この時期だけの味わいはおいしいですよね。生きていくといろんな感情や状況までも味わえるようになるからなのかも、なんて思っていただいております。
春は自然の食べ物も特有のにがみやえぐみが出るもの。私たちも同様であるということを楽しみながらまるっと楽しむ季節にできたらと思います。邪気はため込まないで、少しずつ外に外に。いい人になりすぎない、というのももしかしたらこの時期必要な術?なんて。
嫌なことはジョークとして笑いに変えて手放すことができたら、とても大人になったなと感じられそう。春特有のちょっとした背伸びと、そのままのバランスを大切に、すてきな清明の季節をお過ごしください。