2023年秋のお彼岸は、9月23日の秋分の日を真ん中に7日間、9月20日（水曜日）から26日（火曜日）です。お彼岸はあの世とこの世の境界線が一番薄くなり、近づけるとき。
この秋のお彼岸についてその意味や由来、何をするべきなのかをまとめました。
お彼岸とは？
お彼岸は、仏教とともに伝わった文化です。仏教では私たちが今生きている世の中のことを【此岸（しがん）】、ご先祖さまがいらっしゃる悟りの境地を【彼岸（ひがん）】と言います。
その此岸と彼岸の境界線がもっとも薄くなり近くなると言われているのが、春分の日、秋分の日です。これらは二十四節季という太陽の位置によって季節を二十四に分けて考えるものです。
春分・秋分は、ちょうど太陽が真東からのぼり、真西に沈む日。さらに1日の太陽が出ている日照時間と、日が暮れた夜の時間がちょうど半分半分となる日であり、陰と陽のバランスがもっともよいとされる【中庸】であるのです。
ご先祖さまさまがいらっしゃる【彼岸】は真西にあるとされているので、この日にそれぞれ私たちは今いる此岸から彼岸へ近づけると言われていて、春分を真ん中に7日間を春のお彼岸、秋分を真ん中に7日間を秋のお彼岸としています。
この7日間の最初の日を彼岸入り、最終日を彼岸明けといいます。お彼岸は、毎年春分・秋分の日が起点になるので大きく変動することはありませんが、微細に変化し日付が変わることもあります。
なにをしたらいいの？
お彼岸は私たちのほうから、ご先祖さまに近づいて感謝をお伝えできるときとなります。ここが夏のお盆との違いで、お盆はご先祖様の御霊がこの世にもどってくることをお迎えする文化です。
なのでお彼岸ではこちらからアクションをするほうがよいとされます。具体的には
・お墓参りをする
・仏壇にお供えをして手を合わせる
・お寺を参拝する
・日頃の感謝を伝える
特にお彼岸は仏教の教えのひとつですから、ご先祖さまを仏教のもとに供養をされている場合はお墓参りやお寺の参拝に適した1日です。
お彼岸は7日間ありますからそのうちのタイミングがよいときに行き、日頃の感謝を伝えてみてください。またお寺では彼岸会というご先祖さまを供養する法要がとりおこなわれることが多いときです。
信徒であれば一般参加も可能なものもあるので調べてみてください。
またご自宅に仏壇がある場合は、そこにお供えをして手を合わせましょう。またご先祖さまだけではなく家族が集まるタイミングであれば、直接伝えられるうちに感謝の言葉をぜひ。
なかなか恥ずかしくて伝えられないこともお彼岸の力をかりてみてください。
春と秋に巡るお彼岸では、時というのは限りがあることを改めて教えてくれ、1日1日を味わいながら過ごすきっかけとなる日でもあると感じています。
春分・秋分は国民の祝日にもなっていますから、ゆっくりとこれまでの人生、これからの人生をみつめてみてもよいかと思います。
なぜお彼岸におはぎ？
そしてお彼岸には、和菓子屋さんからおいしい季節の味が届きます。
春のお彼岸には牡丹餅、秋のお彼岸にはおはぎです。
小豆は赤色から縁起がよく、お彼岸のお供えとして選ばれてきました。春と夏で牡丹餅とおはぎと、少しちがうのは、あんこの種類の違いです。
これには季節的な背景があり、秋は小豆の収穫時で皮がやわらかいのでそのままつぶあんとして、春にはつぶをこしてこしあんとして準備をしていたのです。
今では技術の発達により年中、やわらかいつぶあんを食べることができますが昔のひとたちの知恵のひとつ、ぜひ楽しみつつお供えに取り入れたいものです。
お供えをしたら、傷んでしまう前にお下げしておいしくいただきましょう。食べものを無駄にしないということも学びのひとつです。
またお仏壇がなかったり、お墓参りやお寺の参拝にいけなくとも、食卓にお供えとして出しご先祖さまを思い出すことで供養になります。その方の好物を並べてみてもよいでしょう。
お作法や、したらいいアクションももちろんよいですが、まずはご先祖さまを大切に思う気持ちが一番大切だと考えています。
秋のお彼岸で楽しめる季節ごと
おはぎだけではなく、赤色が美しい彼岸花もこの時期に一番の見頃をむかえます。彼岸花の別名は「曼珠沙華（まんじゅしゃげ）」。
サンスクリット語で「天界に咲く花」といわれ、おめでたいことがことが起こる兆候に赤い花が天から降っていることを表す仏教の教えから由来しています。
墓地に植えられることも多い彼岸花ですが、その美しい色どりをみせてくれるためだけではなく、アルカロイドという毒を持つため土葬を野性のねずみやもぐらなどから守るためでもあったそうです。
昔の人々たちの知恵はこんなところにもあったのです。
まとめ
毎日を過ごせていること、人や物などご縁がつながっていること、この背景にはご先祖さまがつないでくださった命のリレーがあります。
誰しもその壮大なリレーのバトンを受け取り、今この世に存在しています。
お彼岸は忙しい毎日の中で、そんな大切なことを思い出すことができ、感謝の気持ちを持って過ごすきっかけを与えてくれる7日間でしょう。
素敵なお彼岸をお過ごしください。