季節の節目には“土用”という季節があります。昔の人は、四季ではなく土用を含めた五季としてとらえていたくらい大切なときです。二十四節季の立春、立夏、立秋、立冬の前日から前約18日間が土用にあたり、最終日が節分(季節の分かれ目)となります。各季節の土用ごとにあらわれる状態や変化があります。今日はそのなかでも夏土用の本当の話をお伝えしたいと思います。
夏土用
立秋前の約18日間であり、夏のピークです。一番陽気が高まるときとなります。
約と書いたのはこれも節入り、という時間が細かく決まっていて(二十四節季は太陽の角度により導かれたもの)たとえば今年2023年であれば7月20日7時26分から8月7日までとなります。ただし今年は8月8日が不成就日のためこの日までととらえてよいでしょう。
この夏土用にはどんな変化があるのか?どう過ごすべきか?最後に開運日についてまとめてみました。
1|夏土用はどんな変化があるのか?
夏は天地の気が盛んに交わり、万物の花が咲き、実をつけるといわれます。エネルギーが外へ向くときであり、陽気のピークをむかえます。人間も同じく、暑さから体が熱くなり気が中心にこもりやすくなります。
ということで一番最初に気をつけたいのが「心」です。心臓は人間の体内の臓器のなかで一番陽の気が強くあついところです。ここに気が集まり、バランスが崩れやすくなります。例えば、心臓がどきどきする、心配しやすくなる、やる気の停滞などにつながります。
また土用は「脾」に気が集まる季節。脾とは脾臓を指すのではなく、消化器全体を表します。胃が重くなったり、食欲不振、過剰、冷えにつながります。また小腸も気をつけておきたいところで、冷たいものを取りすぎる、またはクーラーなどで体を冷やしすぎると気が流れ出てしまいます。適度な量、温度を感じ調整することが大切です。
全体の気は外へ発散されていくときですが、夏土用は特に心と体の声を慎重にきいて手当をしていきたいとき。バランスが崩れないよう、夏土用のせいにしてできるだけ休めていきましょう。
2|どう過ごすべき?
とはいえ、この18日間をずっとお休みモードですすむことは難しいものですが、まずは8月8日までは土用なので負担をかけすぎないということを意識してください。できるだけ「楽」で「楽しい」を選択し、自分の気をしっかりと保つようにしてください。
イライラしたり、落ち込んだら、誰かに話してみることもよいときです。いろいろとため込みすぎると爆発してしまいます。なにかあればまずは「夏土用のせいだからだな」と土用のせいにして自分自身やまわりを無下に傷つけないように過ごしてください。
そして有名なのが土用の丑の日でしょう。この日にうなぎを食べるというかたも多いと思いますがなにもうなぎばかりがいいとは限りません。この日はう、がつくもの又は黒いものを食べると開運邪気払いになるといわれています。うどん、うり、梅干し、または黒豆、しじみ、黒ゴマ、なすなど。
特に梅干しは土用干しといって、夏土用の晴れた日に干すことがよいとされています。現代のうなぎはこってりたれ味。これが胃の負担につながっては元も子もありません。ご自身の体調や調子に合わせて選んでみてください。
また土用中の味覚としては「苦み」が心の陽気を陰気へおさえてくれるとき。ゴーヤや緑茶、かんきつ類などを取り入れることもおススメです。
3|夏土用の開運日
土用の間ずっとなにも動けない、開運日がないということではありません。土用は各季節ごとに間日が設けられており、その日はいつも通りに過ごすことができます。土用は土の神様がこの世の季節をゆっくりと次の季節へ動かす時。そのため土を動かすこと、工事や車関係、大きな変化は控えた方がいいといわれますが、この間日であれば土用が作用しません。今年2023年は7月20日・21日・25日・8月1日・2日・6日が間日にあたります。なにか計画がある場合はこの日を味方につけてみてください。
また今年はその中でも2日に迎える満月がおおきな後押しをしてくれるでしょう。ずっとやりたくてもできなかったこと、1歩が踏み出せなかったかたはぜひこのタイミングを使ってみて。
そして2023年はこの土用期間中、暦上の最大吉日である天赦日を8月4日にむかえます。残念ながら間日には該当しませんが今年はこの天赦日と10月17日で最後となります。8月の天赦日にはずっと続けていたことのバージョンアップ、それからダメ元でのチャレンジができるときです。
風のちからを借りてふわっと上昇できるとき。早めからの計画が吉とでるでしょう。
4|最後に
土用と聞くと、「土」のことばかりに気を取られますが実は自分自身の体の内側に大きな変化があるときです。心と体の声をじっくり聴いて、少しずつ調整をすすめることでよりよい気の流れになります。循環を楽しみ、どうぞ気をつけてお過ごしください。