二十四節季という季節の捉え方があります。1年を24に分けて、季節を味わう考え方です。日本には四季がありそれはそれで季節の移ろいが感じられよいところですが、昔のひとたちは季節をもっと細かく観察し、大切にしてきました。
その背景には、今のようにネットや映画などのエンターテインメントがなく、楽しむことと言えば季節のことぐらいだったのかもしれません。ですが、私たちも季節は同じようにいつもそばにあり、感じる心があれば24の季節をそれぞれ味わうことができるのです。
日本に生まれ、日本に暮らし、いまも変わらない季節があること。二十四節季は旧暦で、実際の季節とは少しずれたりしていますがそこもまた味。現代流に私たちが感じ、楽しめる二十四節季に大切にしたいことを書き綴ってみたいと思います。
春|穀雨
夏の始まりを表す立夏という二十四節季のひとつ前、ということは春の一番最後の季節が【穀雨(こくう)】です。ひとつの季節は干支により節という区切りがあり、約15日間です。
約と書いたのはこれも節入り、という時間が細かく決まっていて(二十四節季は太陽の角度により導かれたもの)たとえば今年2023年であれば4月20日17時14分から5月6日3時18分までが穀雨となります。そんな穀雨に大切にしてみたいことを2つ書いてみました。
1|春の雨を楽しむ
爽やかな季節です。この時期、実は雨も多くなるので穀物を潤す雨として穀雨と表現されますが、暗く重たい雨ではなくまるでこの地球を、土に恵みをもたらしてくれるような清らかな雨。
春は風が強く吹き、花粉や塵なども舞い飛びますがそれらをすべて落ち着かせて、整えてくれるような。
春の雨を“春雨”と表現します。春雨というと、あのツルツルとした食べ物がまっさきに浮かんでしまうのですが、その通りにつるんと、クリアで、真っすぐな雨です。
朝、雨がふっているとただただ準備が大変だったり、面倒だなぁと思うときもありますがこの季節はその爽やかな雨を思い切り楽しみたいと思っています。
雨の日におすすめなのが、お気に入りの雨具や傘。私はずっと日本製の藍色で持ち手が木の傘を使っていて大切にしています。レインブーツもないと、あるでは、水たまりの楽しさや心地よさがまったく異なるのでぜひ。
またこの春は軽やかな雨に合わせて、明るく、私らしい傘をもうひとつ見つけられたらいいなぁと思っています。雨の日の傘はその人の顔。表情やお顔が見えずらい分、すてきな傘を雨の日に咲かせながら歩いている方がいるとすてきだなと心惹かれるのです。
2|おいしいお水を飲む
前の季節、清明から春の土用に入っていて、後半はこの穀雨がピタッと重なります。春の季節がピークをむかえ、春の一番最後、夏の始まりの前となります。
この春の土用は、“巡り”に気が集まります。春は五臓のなかで、“肝”を大切にしたいとき。これは肝臓という臓器そのものを表すのではなく、巡らせる役割としての“肝”を指します。さらに土用で気が集まるのは“胃”。こちらは消化としての役割です。
ということで体内の巡りを滞らせず、流して、潤わせ、さらに消化を促す“お水”は欠かせません。穀雨という季節が表すとおり、万物に恵みの雨をもたらす季節は、私たちもお水をたっぷりと。
水は不思議なものです。当たり前にあるようですが、人工的に“水”を作り出すことは私たち人にはできません。自然の雨が降らなくては、私たちは水を飲むことができない。その水がなければ人だけではなく地球上すべての生き物が生きていくことができないのです。
穀雨は自然に生かされていることに改めて気づき感謝して、おいしいお水をいただきたい季節です。いまでは国内外たくさんの土地で採水されるお水を飲むことができます。その味わいや体感も感じ、体に合うお水を探すことも楽しみなことです。
ただ、雨だなぁと憂鬱な気持ちになるのか、水に想いをめぐらせ季節を感じられるのか。豊かさはいつでも私たちのそばにあるようです。