季節のエトセトラ|さくら

暦と季節

季節を感じられるものがあります。それは自然に属するものだけではなく、食べ物だったり、慣習だったり‥。ここではそんな季節を味わうことができるひとつのテーマにまつわるあれやこれを書いていきたいと思います。

春|さくら

毎年、さくらの花が咲き始めると春がきたと感じます。日差しが気持ちいい季節にピンク色の花々が徐々に咲き、満開になり、さらに散り際まで美しい桜。そんな桜ですが様々な種類があります。今では桜の品種は野生品種と栽培品種合わせて600種類以上あるのだとか。まずはその桜の種類からお話ししていきましょう。

1桜の種類

桜の種類といえば今は一番有名なのがソメイヨシノでしょう。これは江戸時代に生まれた栽培品種といわれ、明治時代以降“桜の名所をつくろう”と全国に広まったそう。それより前は日本にもともと自生していたヤマザクラという品種が一番多かったよう。

ソメイヨシノは人の手によって挿し木や接ぎ木で増やされどんどん増えていくタイプ。木も5年ほどで花見ができるほどの大きさになるそうです。

あたたかくなるにつれ開花していくので日本全国、南から北へ3月から5月頃に見頃を迎えます。この全国の開花日を線でつなぎ結んだものを“桜前線”とよび、天気予報やニュースなどでも毎年話題になるものです。

ソメイヨシノより早く開花するのが河津桜(かわづざくら)。静岡県の河津市で発見されたことからその名がつけられています。ソメイヨシノより濃いピンクの花が咲き、2月から3月頃に開花します。寒いときに花がひらきはじめるのでゆっくりじっくり花がもち、長く楽しめることも特徴です。

ソメイヨシノの葉が出てきたころから咲いてくるのが、八重桜。ソメイヨシノは花びらが5枚ですが、八重桜は花びらが6枚以上重なり丸みがある花です。多いもので100枚近くの花びらが重なるものもあるそう。八重桜の別名は牡丹桜。開花は関東で4月中旬から5月。舞い散る花びらも美しい春です。

2|季語・言い伝え

桜は春の季語としてもたくさんの言葉があります。つぼみから、満開、散り際までそのすべてを味わい感じる表現は日本人ならではのセンスだと感じています。季語のなかから使ってみたい素敵な季語をいくつかを紹介します。

花冷え|春といえど気温が安定せず、朝晩は冬のように冷え込むこともある季節。その気温が下がったときを“花冷え”と表現します。同じくまだ雲がかかる日が多いこの頃を「花曇(はなぐもり)」ともいいます。季語では“花”といえば桜をさすほど。季節を代表する花なのですね。

花の便り|こちらも花は桜を指し、桜が咲いた時期であることを便りとあらわしています。ちなみに花の便りは聞かれる、とつづけます。お手紙などでは「花の便りが聞かれるころとなりました」とするとよいでしょう。

花いかだ|桜が散り、水辺にいかだのように花びらが落ちている様子です。晩春を表し、桜の散り際の美しさを楽しむ様子です。水面にゆれる薄ピンク色の花びらも風情がありますよね。その他にも桜が咲いているときに降る雨を「桜雨」、「桜流し」とも。

季語とは違いますが、散った桜の花びらをキャッチすることができると幸運がおとずれるともいわれますよね。ハラハラと舞う花びらがふと手のうちに入ったら。それだけでとてもうれしい瞬間となりそうです。

春、季節だけではなくさまざまな移り変わりがあります。そんなときに桜の話題や季語で深く桜を味わえたら。よりこの季節の桜が好きになりそうです。

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